講談社の週刊現代に掲載された獺祭の記事について
巨大なビルで大量生産…日本の名酒『獺祭』がちょっと変だぞ!?
と言う記事が掲載されました。記事の最後の日付が2016/01/28となっていますが、虫混入についても言及されているので、2017/01/28と思われます。酒好きの一人として読んでいると、何やら非常にもやもやするものがあったので、ここに紹介しつつ、感想を書いてみます。
山口の酒「獺祭」ブームに賛否両論
記事の中では賛否と言うことで、一応それぞれの立場から今の獺祭について紹介されています。賛成派と受け取ってよさそうなところでは、日本酒輸出協会会長の松崎晴雄氏、岩手県「南部美人」五代目蔵元の久慈浩介氏、コラムニストの勝谷誠彦氏がそれぞれ述べているところ。
しかし否定派らしい部分は、「日本酒ライター」であったり「都内の老舗酒屋店主」であったりと、賛成派の実名と比べてどこの誰ともわからない人の意見として掲載されています。
先の表題が表題だけに、これらの意見をつなぎ合わせ、何とももやもやする記事に仕上がっています。賛成派と言うよりは日本酒を愛する人として、獺祭について答えたら、とんでもない記事に仕上がっていたと言ったところでしょう。
大量生産化で味が変わったのではという意見も
量産化できる計画は今に始まったことではなく、新蔵の建設においても計画は随分前からあったことと思われます。しかし記事では、ブームに乗っかって蔵を大きくし、杜氏の経験よりもデータと機械化と言った部分にスポットをあて、書かれています。
いかにも日本酒のことを知らない人が、専門家の意見をつなぎ合わせて適当な文章にしたんだろうということが伺えます。
機械化に関しては、精米は精米機、洗米はウッドソン、蒸米運びはエアシューターやクレーンなど、今をときめくような銘柄の蔵を見学させていただくと、随所に機械化がはかられています。機械の導入という部分ではなく、それを使いこなす人と言う部分が大切だとは思われます。
蔵元さんにとっては一口に、「手造り」というキーワードについて聞かれてもある意味何を基準にして答えたら良いのか難しいところでしょう。
この機械化に関しては、最近読んだこちらの記事が参考になりますので、あわせて参照ください。
SACKET > 手作りVS機械
四季醸造で季節感を失っている
蔵の温度管理を徹底し、通年で醸造を行っているのだ。だが、この点についても旧来の日本酒ファンからは不満の声が上がる。
人気が出て入手が難しくなってくるともっと造れと言い、苦労して四季醸造などの体制を整え造ると、季節感がないと言われる。心中お察しします。
蔵元日記 > プレミア価格
唯一の筆者の意見?
「前のほうがよかった」と思っている日本酒ファンの気持ちも汲んでほしいところだ。
最後でこう結ばれています。自分が獺祭が以前と変わったと思われるところは、2013年10月の価格改定と、以前よりも僅かに香り高くなっているかな?と言う部分、そして遠心分離についてです。
価格改定については原料が上がっていることを考えるとしょうがないと思われる部分で、その上がり幅も納得できるものです。現在でもコストパフォーマンスは良いという印象です。
香りについては、フルーティーと言うキーワードで進化したととらえることができます。しかし、食との相性を考えると香り高いことが邪魔になると考える人もいますので、この部分は人それぞれでしょう。
遠心分離については、現在の獺祭の遠心分離と言う商品は、遠心分離と言う上槽方法のお酒と通常の上槽方法のお酒のブレンドであるとオフィシャルサイトの商品紹介にあります。以前はこの文言がありませんでしたので、遠心分離だけのお酒が詰められていたと思われます。
遠心分離とうたう以上はすべて遠心分離でのお酒であるべきと個人的には思いますが、桜井会長の「飲んで旨い!といってもらえる酒」と言う根本を考えると、綺麗すぎる遠心分離のみのお酒は獺祭としてどうか?と思われたことでしょう。
最近の獺祭は
記事としては、今をときめく獺祭をディスることで読者に、「へ~」と思わせることが目的のタイトル詐欺的なものですが、酒好きはそんなところは見ていません。
とにかく飲んで旨いと言う酒好きの声を聞くために、獺祭は日夜研究、努力を怠ることはありません。これまで旭酒造では、火入れ(殺菌)を60度台の低温殺菌によって保存性を高めていましたが、今は亡き明治大学の早田教授とそれを引き継ぐ教え子の皆様、そして旭酒造の共同研究によって、二酸化炭素をマイクロバブル化し酒に加えることで、40度以下の殺菌を可能としたそうです。
先日、そのお酒が獺祭「早田(はやた)」として発売されました。残念ながら自分は飲むことができていませんが、信頼できる酒好きの友人からは、「フレッシュ感ある良い酒でした。」と言う感想を教えていただけました。
飲んで旨い獺祭を、今後も追いかけて行きます。
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